2021年7月26日 16時26分
中国は7月24日、同国が独自に建設を進めている宇宙ステーション「天宮(Tiangong)」の実験モジュール「問天(Wentian)」を打ち上げました。
翌日の7月25日に天宮のコアモジュール「天和(Tianhe)」へのドッキングに成功しており、中国独自の宇宙ステーションは完成に一歩近付きました。
中国は天宮に2つの実験モジュールを追加することを計画しており、問天はその1つ目となります。全長17.9m・直径4.2m・重量23t(打ち上げ時)の問天は、作業モジュール・エアロックモジュール・資源モジュールの3区画から構成される大型のモジュールです。
問天は主に宇宙生命科学に関連した研究に対応。問天は船内だけでなく、船外に実験装置を設置することも可能です。
問天にはノードモジュールよりも広い専用のエアロックモジュールが備わっています。中国国防部によると問天のエアロックはハッチの直径が1mで、ノードモジュールのハッチよりも15cm大きくなったといいます。
問天には小型の装置を扱うために設計された全長5mのロボットアーム(可搬質量3t)が船外に搭載されていて、実験装置の設置や交換などに用いられます。
天和に搭載されている全長10mのロボットアーム(可搬質量25t)と問天のロボットアームは人間の両手のように協調して操作できるだけでなく、1つにつなげて全長15mのロボットアームとして運用することも可能。
資源モジュールには大型の太陽電池アレイが2基搭載されています。展開時の長さは1基約28mで、2基の太陽電池アレイを展開した問天の最大幅は約56mに達します。発電能力は2基で合計18キロワット、1日あたりの電力量は平均430キロワット時以上で、天宮を運用するのに十分な電力が供給されるといいます。
今後、問天は天和の側面に設けられたポートへ移設され、2022年10月に打ち上げが予定されているもう1つの実験モジュール「夢天(Mengtian)」の到着に備えることになります。
日本や欧米、ロシアなどが運用する国際宇宙ステーション(ISS)は老朽化が進む上、ロシアのウクライナ侵攻で宇宙での国際協力に支障が出ている。中国が独自のステーションを完成させれば、宇宙開発分野での影響力がさらに高まるとみられる。